「…それでも
できないって言うか?」


「そ、それは…」


「そういう事だよ。
どのタイミングで来ても
動揺しないで演技する。
それができなきゃだめだ。」


夏川大地が言う。


確かに

この人の言う事

間違ってないかも…


「イメージするんだ。
自分を捨てろ、里緒。」


夏川大地が言う。


自分を捨てる…。


「や、やります!」


私は先生に言う。


大丈夫だ。

昨日、練習したし…


それに

夏川大地の言う通り


私はただイメージ
するだけ。


狼に襲われそうな
イメージをして……



私はただイメージして
強く叫ぶ。


普段なら
恥ずかしくてできない
はずなのに…


なぜか
気にしないで
できたんだ…。


「お、終わりました…」


終わると私は先生に言う。


すると


「うん。合格!」


先生が言う。



…へ?