だけど
「…あ、もうこんな時間か。」
ずっと演技レッスンをしてたら気が付いたら夕方。
レッスンに集中してたら時間はあっという間に感じた。
夏川大地に…もうすぐ
会える…。
「よし、終わりにしようか。」
「あ、ありがとうございました。お疲れ様です。」
私は高梨先輩に言う。
「里緒ちゃん、機嫌いい…?」
高梨先輩が私を見る。
「あ、夏川大地と会えるので…これから…」
だけど
「夏川…?」
高梨先輩の表情が変わる。
「高梨先輩…?」
「夏川には渡さない。」
高梨先輩が言う。
……え……
「高梨せんぱ…」
………え!?
高梨先輩はいきなり私の唇を奪った。
た、高梨先輩…
「やっ…」
私は高梨先輩の身体を突き飛ばす。
「す、すみません…私…帰ります。」
私は唇を手で押さえながらレッスンルームを出る。


