「えーっと、にんじんと…」
「おい!鶏肉は入れるなよ?」
夏川大地が言う。
「え?シチューなのに?」
「嫌いなんだよ。あとブロッコリーとキノコもなし。」
「キノコってマッシュルーム?じゃあにんじんと玉ねぎだけじゃん…」
シンプルだなぁ…
「嫌いなんだから仕方ないだろ。我が家ではそれが普通だったし。」
夏川大地が言う。
「夏川家が変なのか…」
「なんだよ?」
「好き嫌いはだめ。てか、夏川大地さ…ちゃんと食べてないでしょ?」
「は?」
「夏川大地は無理するからせめて食事はきちんとしないと。」
私は夏川大地に言う。
「…母さんみたいだな、お前。俺を心配する奴、お前くらいだな。」
夏川大地が言う。
夏川大地…
「そっか…」
夏川大地、寂しかったのかな…小さい頃から。
「大丈夫!私が美味しい料理作ってあげるよ!」
「お前にできるのかよ?」
うっ…


