ひとしきり物思いにふけったあとで、少しだけ視線を左に移す。 丘の先端にベンチが2つ。 一つは俺で、もう一人は文学少女。 「…見られても、困るんだけど」 『ん、ごめん』 別に彼女とかそういうのではなく、ただこの公園で2人でいることが多くなったから話すようになっただけ。 「けっきょく今日も来てるじゃない」 そう言って、読んでる本に栞を挟み、パタンと閉じる女。