「俺は・・・・咲を・・・愛してない。」





しばらく時間が止まったように、

俺たちは少しも動かなかった。




「愛して・・・ない・・?」

「俺・・・・もっと好きな奴が居たんだ・・・でも・・。」


「苦しくて・・・忘れたくて・・・咲と付き合った。」


ダンッ

勢いよく健の拳が俺の頬を殴った。


「ふざけんなっ!!」


「もっと好きな奴が居る?」

「忘れたくて付き合った?」


「そんな理由で・・・咲を傷つけてんじゃねぇ!!」

「もう、咲に近寄るなっ!!」



そう言って、健は走って行ってしまった。






健の言葉が、もっとも過ぎて

俺は立っている事しか出来なかった。




ごめん健。

もう、俺は咲には会えない。

お前にも・・・合わす顔が無い。


そのまま咲のところに行って、

俺を最低な奴だって教えてやって・・・。


それで・・・


俺がこんな事言える立場じゃねぇけど、




お前が咲を幸せにしてやって・・・。