「あ、えっと・・・席・・あの窓際。」
「あそこか。ありがと。」
席に座ると、さっきまで固まっていた奴等が動き出した。
「ねぇ、長瀬君。」
「・・・大変だったね。」
「大丈夫?」
「元気出して?」
「辛かったね。」
「苦しかったよね・・・。」
次から次へと話しかけてくる。
今まで一度も話した事が無い奴まで。
うざってぇ。
マジで消えろよ。
黙れ。
イライラする気持ちを抑えて、
俺は黙っていた。
休み時間も、飯の時間も、
変な女から話しかけられた。
我慢できなくて、教室を出た。
でも、廊下でも同じだった。
『ねぇ、あの人・・』
『アイツだろ?あの・・』
俺が通る度に、後ろからも前からも俺を同情の目で見てくる。
そんな目で見るな
俺を見るなよ
黙れ 黙れ 黙れ
その日俺はずっと中庭に居た。
