タクシーに乗って、アパートの前まで来た。


「ここなんで。降ります。」


お金を払って、ゆっくり階段を上る。



―――カンッカンッカンッ


本当に古いな・・ここ。


―――ガチャッ
ガチャッ―――


丁度俺がドアを開くと、
隣りのドアも開いた。






さっきの女の子と目が合った。


「どうも。」

「・・・。」


彼女は黙って俺を見ていた。


「・・・えっと・・・。」


何を言えばいいのか分からなくて躊躇している俺を、彼女はただ黙って見ている。



しばらくして彼女は階段を下りて、
どこかに行ってしまった。




なんだよあいつ。

何か言えよ。



俺は少しイライラしながら家に入った。