僕が彼女を殺しました・・・。

「・・・離して。」




「お願いだから・・・離して。」





絶対に離さないと思っていた手が、

簡単に離れてしまった。



急に力が抜けたんだ。

千里の声を聞いて・・・。





千里の声は・・・

何だか怖くて、寂しくて、切なくて。



本当に悲しい声だったんだ。







「ごめん・・・帰るね。」

そう言って千里は立ち上がり、
上着と鞄を持って玄関へと歩いた。



「俺・・・本気だから。」


彼女の足が止まる。


「それだけは忘れんな。」

「・・・うん。」



千里は帰った。

いつもなら、
ドアを閉める時に千里は必ず振り返って、
『またね。』って手を振って帰るのに、


今日は、振り返らなかった。




そんな些細な事が、俺は怖かった。


2人の関係が
終ってしまいそうで・・・。