「買い物♪翔ちゃんは?」
「俺?こいつらとぶらぶらしてた。てか、ちゃん付けで呼ぶなよ。恥ずいから。」
「いいじゃん。翔ちゃんは翔ちゃんなんだから。それに可愛いし♪(笑)」
「可愛いとか言うなッ!!」
男は千里の髪をぐしゃぐしゃにした。
そのときの千里の顔は、少し嬉しそうに見えた。
2人が話している時、
俺は空気になった気分だった。
誰にも見えないただの空気。
そこにあるのに、
誰にも見えない・・・・。
ここから逃げ出したかった。
千里の手を握り締めて、
この男の居ないところに行きたかった。
でも、
俺にそんな事できる訳なくて・・・
ただ何も言わずに立っていた。
「その人は?」
「あ、紹介するね。あたしの弟の浩一。」
「どうも。千里と同じ大学の佐々木翔(ササキショウ)です。」
そう言って会釈をした。
「どうも。」
そう言って俺も軽く会釈をした。
