「あっ、起きちゃう」


心葉ちゃんが、慌てて口をつぐんだ。


「さっ、次の問題やろうか」


「教えてよ」


「ダメ。これは、俺と愛花の秘密」


「つまんないの」


ほんとにつまらなそうな顔をして、心葉ちゃんが鉛筆を動かした。


「おじさん」


「ん?」


「お姉ちゃん、きっといいお母さんになると思うんだ」


「どうして?」


「だって、私のお姉ちゃんだもん!」


「そっか」


「優しくて、強くて、ぎゅって抱きしめてくれるお母さん」


そう言って、ニコって笑った。