会った? この子と?

驚いていると、「ヒントは花壇です。」と微笑まれた。

花壇・・・。

まさか。

数ヶ月前の光景が、ふっと頭をよぎった。

俺の、一目惚れを思い出していた。



俺が目を見開いていると、彼女はクスクスと笑った。




「気づきませんよね。あの頃、私いじめられてませんでしたし。」

「え?そういう意味じゃ。」

「逃げてごめんなさい。私極度の人見知りだったんです。」



だった?過去形?



「人見知りのせいで、私は虐められるようになりました。

それをきっかけに、私は人見知りを直そうと思いました。

直っても、いじめられてますけどね。」

「ふー―――」

「それだけじゃ、ないんです。」



相槌を打とうとした俺の言葉を遮って、彼女は口を開いた。



「私、先輩のこと知っていました。ずっと、ずっと。

そんな先輩に話しかけられたのに逃げてしまったのが恥ずかしくて、悔しくて。

私、だから直そうとしたんです。」



それって・・・。



「私、先輩のことが―――」

「ストップ。」

「へ?」



震える唇が止まった。 涙の浮かんだ瞳がぱちくりと瞬いた。

俺はポケットからハンカチを取り出すと、そっと彼女の頭に触れる。

びくっと反応した彼女が、本当に愛しく思えて。



「綺麗にしてから、言おうぜ。」

「・・・はい。」



あんな風に戻ってから。

キラキラの彼女に、なってから。


え?俺の答え?

決まってんじゃん。俺も好きって。

え?男なのに相手に告白させるのかって?

いいじゃん。そんくらい、おとぎ話と違ったって、さ。