戦国遊戯

周りからは拍手やら喝采やらが聞こえてきた。

「お嬢ちゃん、大丈夫?」

女の子の手をとり立てらせると、着物についた土を払った。女の子はごしごしと涙をふくと、大丈夫、と笑って言ってくれた。

「お姉ちゃん、ありがとう」

その子の笑顔が、とっても可愛くて、ついついこっちまで顔が緩んでしまった。

「どういたしまして。あ、でも、お団子。泥まみれになっちゃったね」

落ちていた包みとお団子を拾う。女の子は、小さく、うん。とつぶやいて、下を向いてしまった。


どうにかしてあげたいけど、私はお金を持ってないし。
・・・あ、そうか、私はお金を持ってないけど、あの男たちは持ってるはずよね!


名案だ!と、そう思って、男たちの懐をごそごそと探った。最初に襲ってきた男の懐から、お財布らしき布が出てきた。

「あった!」

いくら、男たちのせいでお団子がパァになったからといって、伸びている人間からお金を奪い取るのはよくない。多分。
そう思って、頬をぺちぺちと叩いて、目を覚まさせた。

「あ、気がついた?」

顔を覗き込むと、男はこの世のものとは思えないような悲鳴を上げた。

「うっさいなぁ・・・あのね、あんたたちのせいで、あの子のお団子が、パァになっちゃったの。だから、お団子代、よこしなさい」

むなぐらをぐぃっとつかみ上げる。

「何をしている!?」

後ろから声が聞こえてきた。きゃぁきゃぁという、黄色い声もあちこちで聞こえてきた。振り返ると、そこには、幸村が立っていた。

「あ、幸村さん。お話は終わったんですか?」

聞くと、怖い顔をしてこっちをにらむ、幸村の姿があった。

「玲子。一体これはなんだ。何をしている」

肩をぐいっとつかまれた。

「い、いたっ!」

小さな痛みが走った。