戦国遊戯

「ちょっとあんたたち！何してんのよ！」

女の子のそばに駆け寄る。女の子は、ごほごほと咳をしている。蹴られたであろうあたりをさすってみる。どうやら、骨が折れたりはしていないようだ。ただ、おなかを抱えて苦しそうな表情をしていて、目には涙がたまっていた。

玲子はキッと男たちをにらみつける。

「ちゃんと前見ないでふらふらしててぶつかったくせに、一体どういうつもりよ！」

「あぁ？」

「ちゃんと謝りなさい。それから、お団子と、この子の治療費を払いなさい！」

別に、正義の味方を気取るつもりも、いい人を気取るつもりは毛頭ない。ただ、こういったやつらは気に入らない。腹が立つ。だから許せない。それだけで、十分玲子が動く理由になった。

「ねーちゃん、なんか文句でもあんのか、あぁ！？」

「おかしな格好してるくせに、俺らにけちつけるたぁいい度胸じゃねぇか」

人数は5人。5人が私の周りを取り囲むようにして近づいてきた。
この子はなんとしても守らないと。
玲子は少女の方をみると、大丈夫、と呟いて、肩をぽんぽんと叩いた。

「くく…後悔するぜぇ･･･おらぁ！」

うち、1人が殴りかかってきた。玲子はその腕を軽くいなすと、もう片方の手で、そのまま思い切りみぞおちにカウンターを入れた。

「おぅぇ･･･っくあ･･･」

玲子はにぃっと笑った。男はもろに入ったみぞおちを押さえながら、その場に崩れ落る。

「て、てめぇ！」

横からもう1人がかかってくる。今度は少し前に出て、ちょうど、腕を振ってきた瞬間に、鼻の下の急所に頭突きを食らわせた。
残りの3人がひるむ。

『おらぁ！』

2人が覚悟を決めたのか、同時に殴りかかってきた。体をかがめて、2人をよけると、後ろに回りこんで片方の相手の腰を蹴り飛ばす。バランスを崩して、倒れこんだその間に、もう1人の腕をつかみ、倒れこんだ方めがけて、背負い投げる。