戦国遊戯

部屋を後にして、玄関へと向った。

「おや、お帰りになられるんですか?」

さっき、馬を預かってくれた人が、玲子の姿を見つけて声をかけてきた。

「いえ、信玄…様と、幸村さんが、大事な話があるとのことだったんで、私はいたら邪魔になっちゃいますから、お部屋を出たんです」

答えると、そうですか、とニコニコ笑って返された。

「あの、私、町をちょと見て回りたいんです。その…あんまりこっちに来たことがないもんで」

「そうなんですか?」

驚いたように言われて、あはは、と苦笑いする。

「私、田舎者だから」

少し言いにくそうにしながら、続ける。

「あの、それで…もしなんですけど、幸村さんが帰る頃までに、私が戻っていなかったら、町に出ていると、伝えてもらってもかまいませんか?」

いうと、男はにっこりと笑って頷いた。

「えぇ。かまいませんとも。お気をつけて、いってらっしゃいまし」

「ありがとうございます。いってきます」

深くお辞儀をすると、玲子はに微笑んでお屋敷を後にした。