戦国遊戯

「さて。答えがまだだったな」

信長がまたそばによって来る。

「…もし、私があなたを手伝うとしたら。田中くんはどうするの?」

同じ条件の人間が果たして2人もいるだろうか?玲子が聞くと、信長はにやりと笑った。

「もちろん、用済みよ」

信長の声は冷たい。

「あぁ…となれば、未来がわかるなどというのは厄介だ…排除せねばならんなぁ」

にたっと笑う信長の笑みに、玲子は鳥肌が立った。


怖い。怖い!


今すぐにでも、この場を逃げ去りたくて仕方がない。でも、それでは何にも変わらない。

「お断りします」

気がつけば、冷や汗をぐっしょりとかいていた。玲子の顔のラインにそって、つぅっと汗が流れた。その様子を、信長はほほえましそうに見つめた。

「なぜだ?」

信長の言葉に、玲子は深呼吸をして答えた。

「私が受けてしまえば、田中くんが殺されてしまうもの。そんなこと、できない」

その言葉に、信長はまた笑った。

「はは!面白い。奴が殺されるから受けられぬと申すか!」

「な、何がそんなにおもしろいのよ!」

必死で抗う玲子の姿は、まるで、蛇ににらまれた蛙のようだった。

「玲子、お主が奴を殺さねば、お前が奴に殺されるぞ?」


心のどこかでわかっていた。
自分が狙われているのは、きっと、田中くんのせいだということを。


でも。
それでも。


今、この言葉を聞くまでは。



田中くんのことを、信じたいと。
そう、思っていた。