戦国遊戯

ほうけているうちに、馬に乗せられ、そのまま連れて行かれた。脳が今起こっている状況を認識できていないまま、気づけば、幸村のお屋敷よりもさらに大きなお屋敷へと到着していた。

幸村が馬から降り、馬を引きながら、門の中へと入っていった。中に入ると、奉公人らしき男が駆け寄ってきた。

「真田様、ご苦労様です」

そう言って、手綱を受け取った。幸村は、手綱を渡すと、玲子を馬から下ろしてくれた。

「いつもすまない。よろしくたのむ」

そう言うと、玲子の手を引いて、屋敷の中へと入っていった。


長い廊下を通っていき、中心くらいだろうか、障子の閉められている部屋の前に着くと、幸村は座わった。

「お館様。真田幸村、参りました」

「うむ」

障子を開ける。中には、なかなか渋い顔をした、男前なおじさんが座っていた。


幸村さんが、お館様って呼ぶってことは…
・・・ま、まさかマジもんの―――――


呆然としていると、幸村に、制服のすそを引っ張られた。


(お館様の御前だ、座らないか)


小声で言われて、あわててその場に座った。

「幸村よ、その娘は・・・?」

聞かれて、幸村が紹介してくれた。

「はい、じつは先ほど、森の中でこのものが迷っているところに偶然出くわし、行くあても、金子もないと申しますので、しばらく、家で世話をしようと思い、拾って参りました」

「拾ってって・・・」

言われて、なんていい方だ、と思ったものの、その表現は間違いでもないので、反論もできなかった。