目を開けると、びっくりして動くことができなかった。


ゆっきー!?
はへ??


目の前に、幸村の顔があった。
いや、少し違う。


…キスされている。幸村に。


顔がカァッと赤くなるのがわかった。何故か、体がうまく動かせない。

「…っはぁっ…」

幸村の唇が離れ、空気を吸い込む。その瞬間、幸村の動きが止まった。

「れ…いこ…?」

恥ずかしさでいっぱいの玲子は、返事をすることができなかった。ただ、そっと、幸村の顔を見た。

「玲子!」

今にも泣きそうなでも、どこかほっとした表情をする幸村に、あわてる玲子。

「なっなに!?」

起き上がろうとして、バランスをくずし、倒れそうになる玲子。幸村があわてて抱き止める。

「…おかえり、玲子」

幸村がぎゅっと抱きしめてくる。玲子はまた、顔が赤くなる。

「たっ…ただいま」

声が裏返りそうになるのを、必死で我慢しながら答えると、ばんっ!と襖が開いた。

「玲子が目を覚ましたって…若!?」

さくらの登場に、幸村ははっと我に返る。そして、玲子を抱きしめている自分に気づき、あわてて離れた。