戦国遊戯

「とにかく、私は、ここで玲子の看病をしております」

幸村が頭をさげると、信玄は、わかった、と短く言って、部屋を出ようとした。

「玲子が目を醒ましたら、必ず。すぐに連絡をよこすのじゃ。よいな?」

そう言うと、長くて静かな廊下を信玄は歩いていった。幸村は、その姿に深く、頭をさげた。


「玲子。いつになったら目を醒ましてくれるんだ…」

ぎゅっと手を握りしめた。死んだように眠り続ける玲子の頬を、そっと撫でる。
ピンク色のその頬から伝わってくる玲子の体温は、今すぐにでも目覚めそうに感じられた。


「若」

佐助が幸村の後ろに、すっと現れた。

「なんだ」

玲子をじっと見つめながら、低く、短く答える。

「町の者に聞いたのですが、その昔、玲子と同じように、死んだように眠り、何年も目を覚まさなかったものがいたそうです」

「なに!?で、その者は一体、どうなったのだ!?」


がばっと佐助の方へ向き直る。佐助の口から出てきた言葉は、幸村の待ち望んでいた言葉だった。


「覚ましましたよ」