戦国遊戯

森のそばにやってきて、思い出した。玲子は以前にも、この森に行っていたことがあった。また、何か用事でもあったのかと思ったが、先にはやぶさだけを帰す理由はないだろうと、あれこれ考えていた。

はやぶさが、森の入り口で止まった。

「ここか?」

まるで言葉がわかるかの様に、幸村が聞くと、はやぶさはぶるぶる、と、頭を上下にふった。

入り口ではやぶさからおりると、幸村は森の中へと入っていった。
ここに玲子を探しに来るのは2度目だな。そんなことを思いながら、目を凝らしながら、探し、進む。

「玲子!」

返事はない。自分の声が響き、こだまする。
もちろん、森の入り口にいるとは限らない。また、前みたいに奥のほうにいたとすると、それこそ、すぐには見つからないかも知れない。軽く、ため息が漏れる。
そのとき、少し向こうで、何かがキラッと光るのが見えた。その場にしゃがみ、身を隠す。視線の先には2つの黒い影が見え、何かぼそぼそとしゃべる声が聞こえた。

「………!!」

黒い影が、はっきりと見えたとき、まずい!と、体が反射的に走り出し、一方の影に体当たりをしていた。

「玲子、無事か!?」

黒い影の一方は玲子。そして、もう一方は、忍と思しき格好をした人物で、玲子に向かって、短刀を振り下ろす瞬間だった。

「危ない!」

後ろを振り向くと、さっき体当たりをした人物が、目の前にいて、短刀で斬りつけてきた玲子に突き飛ばされ、地面へと突っ伏す。

「玲子!」

慌てて玲子の方を見ると、玲子の腕から、血が流れ出ているのがわかった。

「大丈夫!」

腕を押さえながらも、視線は忍に向けられている。幸村も、ただ事ではない、と、忍の方を向きつつ、玲子を背中へと庇う。

「貴様、何者だ?」

ギロリ、と睨みつける。数分のにらみ合いの後、忍は何も言わず、その場から姿を消した。

「おい!」

辺りを見回してみたが、忍の気配はない。もちろん、気配を殺していて、潜んでいるかもしれないと思ったが、特に攻撃を仕掛けてくるでもなく、本当に、どこかへと立ち去ったようだった。