戦国遊戯

「ゆ、ゆきっ!?」

突然の出来事に、思わずバランスを崩し、柿崎を下敷きにした状態で、その場に倒れこんだ。ごん!っといい音が辺りに響いた。

「す、すまぬ、玲子!大丈夫か!?」

幸村に体を起こされ、肩をゆすられる。
さっき打ったせいか、頭がずきずきする。

「だ、大丈夫…」

頭をさすりながら、答えると、下からつぶれた蛙のような声が聞こえてきた。

「ど、どいて…くれ」

はっとなって、慌てて立ち上がる。柿崎はごほごほとむせる。腕をさすりながら、体を起こし、立ち上がった。

「まさか、二度もお主に負けるとはな」

悔しそうな表情でこっちを見てきた。玲子も苦々しげな顔で、柿崎を見た。

「私は、あの時、あなたを殺さなかったことを、死ぬほど後悔してる。あなたに殺された人たちのためにも、あなたに負けるわけにはいかない」

死ぬ間際の、人の体温。すぐに甦る、手にべったりとついた、血の感触。

「あなたのことを、許すことはできない。きっと、一生」

ぎりっと歯を食いしばる。気がつけば、目からは涙がこぼれていた。

「玲子。もう、やめるんだ。もういいんだ」

幸村が玲子を後ろからぎゅっと抱きしめた。

「お主の帰りを、みなが待っている」

幸村の囁く、優しい声。そして、その言葉に力が入らず、ずるっとその場に座り込んだ。

「1人で背負い込むな。無茶もしないでくれ。お館様も、俺も。みな、心配になる」

幸村は、玲子の頭をそっと撫でた。玲子は必死で声を押し殺して、下を俯き、泣いた。
信玄は立ち上がり、謙信の前に立った。