戦国遊戯

ぱちん!と、大きな音で、謙信が扇子を閉じた。
と、同時に、2人の剣先が、きぃん、と、大きな音を立てて、ぶつかり合い、はじきあった。

「お主とまた、こうして刃を交えることができるとはな!」

柿崎が、大きく振りかぶって、まっすぐに玲子めがけて振り下ろしてくる。

「くっ」

刀を両手で支えて、その一撃を受け止めた。肩が外れるかと思うくらいの衝撃が、全身を走った。

「あんたは、殺すだけじゃ物足りない」

ぎっと睨んだその目には、少しだけ、涙が浮かんだ。踏ん張って、振り下ろしてきた刀を跳ね除ける。

「奇遇だな、私もだ!」

はぁ!っと柿崎がまた一歩踏み込んでくる。まともに受けていたら、こっちの体が持たなくなる。神経を集中させて、刃を滑らせ、軌道を変える。

が、視界のはっきりとする昼とは違い、辺りの松明と、月の光のみを頼りに、何とかその場をしのがなくてはならない。

もって、あと数分。かな。

慣れない大きく重い刀。それを振り回すだけでも、相当な体力を削られる。そして、集中力も。

周りの人物達はみな、黙ってことの成り行きを見守っている。謙信は嬉しそうに、2人の戦う姿を見ながら、杯に口をつけた。

「はぁっ!」

刀でまた受け止める。

ぱきぃん!

大きな音が当たりに響いた。玲子の持っていた刀が、衝撃に耐え切れず、そのまま折れた。

「うわぁっ!」

一瞬、スピードが落ちたが、柿崎はそのまま振り切ってきた。紙一重のところで、体をねじって刃をかわした。が、かわしきれず、つぅっと腕に浅い切り傷ができた。