戦国遊戯

「ダンゾー?居るかえ?」

「は、ここに」

部屋に戻って、ボソッとつぶやいた。姿はないが、返事が聞こえてくる。

「お主に連れてきてもらった娘を取り戻しに、今宵、信玄が屋敷へやってくる。へんな手出しができぬよう、あ奴にしたがっておる小うるさい蝿の相手を頼めるかえ?」

「はっ」


信玄の周りにも、先ほど来ていた佐助のように、手足となる者がいくらでもおる。が、今回の余興の主役は玲子じゃ。


「わらわは、自分が考えた楽しい余興を、人に邪魔をされるのが何より嫌いじゃ。ダンゾー。心してかかれよ?」


部屋の温度が下がったんじゃないかと思うくらい、冷たい声で言い放つ。


「御意」

短く声が聞こえてきたかと思うと、姿を現すことなく、気配が消えていった。

ダンゾーに任せておけば、問題はなかろう。後は、信玄が、約束の時間に到着すれば、余興が始まる。

「ふふ、このように心が躍るのは久しぶりじゃ。あぁ、なんと心地のよい…」


うっとりとしながら、時が経つのを待った。