戦国遊戯

玲子の顔が上がった。

ふふ。やはり、余興はこうでなくては、な。

「今宵、信玄は、酒を飲みにくるだけじゃ。そのとき、ちょっとした余興を考えておる。玲子よ、お主には、その余興に参加してもらう」

きっ、とにらんでくる。

「何で私が」

「参加するのであれば、そなたの力で、信玄のもとへともどることができるかも知れぬぞ?」

そう言うと、玲子の目が大きく見開かれた。

「ほんとに!?」


やはり、のってきたな。


ふふっと、悪い笑みを浮かべる。廊下から、柿崎が不審そうな目を向けてくるが、無視する。

「本当じゃ。わらわは嘘はつかぬ。どうする?玲子」

「参加する!」

「そうじゃそうじゃ、そうこなくては面白くない」

ばっと扇子を広げ、玲子のほうを指す。

「そう、余興とは、こうでなくては、な」

挑戦的な目を、玲子が向けてきた。柿崎は呆れ顔のようだ。


わらわは退屈は嫌いじゃ。これで、駒は全て揃う。どこまで玲子ができるのか、見ものじゃな。


笑いがこらえきれず、つい、ふふっとこぼれる。口元を扇子で隠しながら、部屋を後にした。



後は、そう。信玄が到着するのを待つのみ。


早ようこい、信玄。わらわの宿敵よ。
お主のことが、ここまで恋しいと思うのは、初めてじゃ。


外をそっと見やる。今夜のことを考えると、ぞくぞくとしてきた。
柿崎に余興の準備を命じ、侍女達にも、今夜の晩餐のための準備を命る。




今宵が楽しみじゃ。

にんまりと、満面の笑みを浮かべて、部屋へと戻った。