戦国遊戯

慶次の馬に、一緒に乗せられた。薄めのピンク色に、花の模様があしらわれている、綺麗な着物。が、帯で結んでいるわけでもなく、本当にただ、羽織っているだけの状態。
ただでさえ目立つ慶次と一緒に、馬に乗って町をうろうろする。

「ねぇ…ちょっと。降りてもいい?」

「ん?なんでだ?」

もじもじしながら聞くと、きょとんとした顔で、慶次が聞き返してきた。

「恥ずかしいから」

「恥ずかしい?」

意味がわからない、といった風な顔で、慶次が首をかしげた。

「目立つのやなの!」

そう言って、はぁ、と息をついた。

「はは、そんなに目立ってねぇよ」

慶次が笑った。冗談じゃない。どこが目立ってなどいないものか。どこが…。

「きゃー!慶ちゃんやないの!」

「もぉ、最近顔見せてくれないんだもの、うち、寂しいわぁ」

「慶ちゃん、うちのお店、寄っていってよ!」

この通り、町に着いただけで、この騒ぎだ。さっきっから、町娘達の、慶次への黄色い声と、私への痛い視線がたまらなくて、いたたまれない。


私って、かわいそうなのかも…


はぁ、と、ため息をついた。
そのときだった。

ぐきゅーるるるるるる…

顔が真っ赤になった。まさかのこのタイミングで、おなかの虫が鳴くとは思わなかったからだ。

「ははは、玲子。腹が減ったか?飯にでもするか」

そう言うと、慶次は近くにあった食事処に行き、馬をつないで、玲子の手を引いて中に入った。