私の主治医の水谷先生。 初めて会ったとき、その優しい笑顔に一瞬にしてときめいた。いわゆる一目惚れってやつ。 もっとも、私と先生は主治医と患者。それ以上の関係にはなれないってことは私が一番よく分かってる。 「……親御さんは、まだいらしてないんですか」 私の大好きな先生の笑顔が少しだけ曇った。 備え付けのパイプに座って、部屋全体を見回しても、先生と私以外この部屋には誰もいない。