何がおきたんかわからない。
目を開けるのが怖い。
自分の状態がわからない。
そっと…
右目から開けてみよう。

そっと目をあけると…
なんにんかの人が
あたしを囲んでる。
左目もあけてみる。
ぼやけた視界がだんだん
鮮やかに澄んでゆく。
そのままゆっくり
よこむくとわんこが
こっちみて座ってる。
無事でよかった。

ガバッと勢いよく起き上がると
ようやく状況が把握できた。

あたし倒れたんだきっと…。
てかあの中年のじじいの犬に…
じじい!!

じじいにあやまってもらってない。
あやまってもらわなきゃ
気がすまない。あの馬鹿犬は??
周りをみても見当たらない。
すると
「ちょっとあんた大丈夫?」
って優しそうなおばさんに
声をかけられた。
「ま、なんとか笑
全部見てました??」
気が強そうにきいてみた。
「ああ…。あんたが寝転んでる
とこしか見てないけど…。
あの犬ならこの並木道沿いに
走っていったよ。
がさつな犬が世話できないなら
散歩なんか出さなきゃ
いいのにねえ。
自分が危ないじゃないか。」

「おきずかい
ありがとうございます。」
無愛想に頭だけさげて
その場をさった。

すんごいムカつく。
謝ることくらいできたはず。
もうこのみちわ通らない。
奈津子さんに人通りの
少ない道を聞いて。


あたしわわんこを抱き上げ、
ギッュと抱きしめながら
いえにかえった。