父と母が離婚して
共働きだったうちわ
あたしのこと
育てられなくなって。
遠い親戚のとこに
養子にされた。
ようわ捨てられた。

その親戚も
小さいときに一度
あったらしいけど…
全くもって覚えてない。

父と母と同じくらいの
歳の夫婦だけれど
子供ができずあたしみたいな
子がほしかったーとか
お世辞みたいな事
ばっかゆってた



あたしわ歩くのが好きで
田浦家にも電車と
歩いて行った。
だいぶ遠かったけど
ゆっくりゆっくり
マイペースで歩くと
いつまでも疲れない。

田舎のど真ん中の、
畑ばっかのとこに、
一軒の馬鹿でかい家が
見えてきた。
たぶんあそこが田浦家だ。


呼び鈴を押そうと
手を少し動かしたら
急にこわくなってきて
もいちど手を降ろす。

大丈夫。大丈夫。
あんたわ生まれ変わるんだ。
田浦さきになるんだよ。
きっとうまくいくから…



と自分に言い聞かせ
チャイムを押す。

キンコーン。
軽快な音が屋敷中に響いた。