年下がダメな理由

『・・・・・。』

潤也が急にこっちを向いた。

「なんで、急にいなくなったんだよ。」

一瞬凄く、悲しい顔をした。
初めて見た。

『私さ。仕事が、忙しくなってきたからね。仕事場まで、近いし。便利だし。肩こらないし。やっぱり、貧乏人にはあの高級感は合わないわね。』

嘘。

むしろ、自分の自宅の方がよっぽど居心地が悪い。汚いし。暗いし。狭いし。あんなに、居心地の良い空間は無かった。もちろん、潤也の存在も含めて。

「そっか・・・。一言、くらい言ってくれればいいのに・・・。」

また、そんな顔しないでよ。心揺らぐじゃん。

『そうそう!あと、あの銀行口座に500万振り込んであったから。私用済み?って思ったのよ。』

そうよ。そうそう。500万。引き出しから通帳を持ってきた。

「それ。俺じゃないよ。」

狐につままれたような表情。

『嘘!じゃ、誰?』

「俺ホントに、知らないよ。」

通帳を開き、振込み人の名前を確認した。
あれ?潤也とは書いてないみたい。