意識が覚めたとき、


あたしの目の前には白と言う色が無造作に広がっていた。


何を触っても分からない。

何を聞いても分からない。

無造作に繰り広げられる音と色の中、


苦しみから逃げるようにあたしは1人閉じ籠る。


聞きたくない。

聞きたくない。









……“イラナイ"


『……イヤッ!!!』


いつもあたしは1人ぼっち。

いつもいるのは家族のいない家。

貧乏でも良かった。

傍にいれればよかった。


あたしは長女だから。

いつかは詩月の名を継ぐから。

そんな理由でいつもあたしは特別扱い。

歳が違う響架はいつも温かい巣に帰る事が出来るのに。

生まれてくる時間が違うだけでこんなに変わる物だなんて理解出来ない。


だから分かり合えたのは音楽。

だけど傍にいてくれたのは奏ちゃん。


温かい温もりは味わえなかったけど、


小さな愛だけは感じ取れたのよ。


だけどいつしか孤独感を忘れてしまって、


耐えられなくなったの。


何もない空虚感に。