だけど
あの頃から椎名はあんまり笑わなくて…
いや。
笑ってるけど、俺らのように腹を抱えて笑ったり…“爆笑”してる姿を見た事がない。
そんなの余計なお世話かもしんねーけど。
少なくとも
このデッカイ家で毎日一人、なんて
淋しいに決まってる。
俺だったら嫌だし。
そんな事を考えてた。
ふと、目の前の椎名に目を向けると
子供みたいに膝を抱えて座ってる。
その姿は淋しさを醸し出してるようで。
俺はまた
椎名を抱きしめたくなる。
「なぁ…
………寒い」
椎名は………?
部屋の温度を上げようと立ち上がった椎名の腕を掴む。
「湯川くん…?」
「椎名が暖めてよ」
そのまま引き寄せて
俺は
椎名にキスをした。


