…空を見上げる。


気分はどん底だよ?
でも、上向いてなきゃ。


また涙が溢れてきそうだから―…


消そう、でも、消えてくれない
さっきの光景がまた蘇る。


本当に綺麗な人だった。

濃い化粧の先輩達となんか、
比べ物にならないくらい。


肩より少し長めの綺麗な黒髪を
吹く風に揺らせて。

スラッと伸びた手足は
モデル並で、


優しく笑うその顔に、落ちない
男の人は居ないんじゃないかな?


チビで、童顔で、

健康だけが取柄の、どこにでも
居るような女の子のあたし。


あたしを選んでくれた
早川先輩を信じよう、って思っても

やっぱり心のどこかで、


「あたしみたいなの」って
不安になってるあたしが居る。