声の持ち主は石田だった。


 石田は相変わらずの美少年ぶりだった。


 僕はこの二三日周りには美男美女ばっかり見ているような気がする。


「唯ちゃん。」


 石田が僕らのテーブルにきて言った。


「俺さ、ここに入学してからずっと唯ちゃんに興味があったんだ。」


 マドンナはうるんだ瞳を石田に向けた。


 石田がその視線を浴びて一気に顔を赤くする。


 マドンナのうるうる上目づかいはすさまじい破壊力だ。


「石田くん・・・」


 石田は意を決したように一息ついて言った。


「だけど、昨日の唯ちゃんは、俺の想像とは違ってた。


ビックリしたけど、俺、それがいいと思った。


うれしかった。」


 え、石田もマドンナにピー――をピー――されたのか?


 僕はいぶかしげに石田を見た。


「タケル、時間は?」


 マキが僕にきいた。


 どうやら僕たちはこの場に野暮、と判断したらしい。


「そうだね、いこっか。」


 僕たちはトレーをもってカフェテリアを立ち去った。


 ドアをでる瞬間、石田が唯ちゃんの手をとるところが見えて、


 まわりにいたたくさんの人々が歓声とともに拍手を送っているのが聞こえた。