二人が消えてはや20分。


 なかなか部屋は空かない。


 この調子だとBまでいっちゃってんじゃないだろうか。


 僕がボーっと考えていると、


 石田はがくがくに生まれたての仔馬のように貧乏ゆすりしていた。


 それから5分後、なぜか待ちぼうけブースの前を殿が通り過ぎた。


「あ!殿!!」


 僕が声をかけると、


 殿が頬を少女、いや処女のように染めて僕らのブースに入ってきた。


「お前!!唯ちゃんに何した!!


くそ!!もうヤッたのか!!!!」


 と、石田が殿に食い下がる。


「やめろ、やめろ」


 殿がいやいやをする。


 僕から客観的にみると、美少年と美青年がこう、なんかあやしい感じになっているのだが・・・・


「その、唯が・・・・」


 殿がもにょもにょ言うのを石田が問い詰めている。


 そんな石田を制して僕はいった。


「石田、いくら殿でも25分じゃ難攻不落のマドンナを落とせないよ。


ちょっとさ、殿の様子がおかしいから、僕たちは帰るよ。


石田も帰ろうよ。」


 ここで一旦引いた方がいいに決まってる。


 僕は提案したが、石田は


「俺は唯ちゃんが無事が見てくる!」


 と息巻いて行ってしまった。


 あわよくば、という魂胆なのだろう。


 僕はそんな汚い石田の背にエアー唾はきをして


 殿と大奥風ラブホテルを後にした。