今日で殿と出会って3日目だ。
自分の寛大さと順応能力の高さに驚く。
「タケルー!
アサゲはまだかー?」
アサゲとは朝ごはんだ。
なんやかんやで自分のこともろくにしない貴族だ。
「はい、はい、はい…」
僕は、ご飯、目玉焼き、ウィンナー、
そして、
インスタントみそ汁をお盆にのせて
殿にふるまった。
「ほう、大したものだ。
ま、タケルの母君には劣るかな。」
そう、ケタケタ笑っているのはすでにマキの姿に
戻った殿だ。
「殿、今日、どうしようか。」
今日は日曜日。
僕は殿とこれからについて話し合おうとした。
「タケル、
やはりな、その…。」
殿は言いづらそうに、味噌汁を見つめている。
レイカに会ってみたいのだろうか。
「レイカに、会ってみる?」
僕は少し小さい声で言った。
殿はほっとしたような、かゆそうな顔をして、
「すまぬ。
確かに、レイカ殿はコトにそっくりなのだ。
しかし、その風貌だけでなく、
何かを感じたんだ…」
殿は神妙な顔をして言った。
「うん、わかった。
僕、ちょっと連絡してみる。」
「すまぬ。」
僕は携帯を持ってベランダへ出た。
先にハヤトに電話するためだ。
僕はなにがなんでも
殿を助けてやりたい。
でも、慎重に動かなければ、
そう思っていた。