すると、コンマ3秒の速さで、僕らのいる個室のふすまが開いた。


 バシャァァーン!!


「「「お呼びでございますかぁ!!」」」


 女性店員がものすごい勢いで入ってきた。


 さすがの殿もビックリしている。


 3人とも目を見開いて、


 顔を赤らめて殿を見つめている。


「あ、あのー生中2つ…」


 僕が女子3人に気おされて、おずおずと言うと、


   チッ!!


 し、舌打ちィィー??


 今のって、え??


 お、女の子でも舌打ちするんだ…


 と、若干テンション下がり気味の僕に対し、殿は、


「ほれ、タケル、言うのだ。」


 と、僕に発言権をくれた。


 ようやく一人の店員がこちらを向いた。


 残りの2人は殿を鑑賞中だ。


 僕が注文を終え、3人の店員が個室から出ていくと、


 殿が言った。


「こっちのおなごは自分から


姿を表しにくるのだな。」


 いささか閉口気味に先に運ばれた、パフェをつついていた。


 そう、平安貴族の特に女性は男性に姿を見せないのが習わしだ。


 古典単語で『見る』とは、


 単に視覚的に見るだけでなく、


 結婚する、ちぎりを結ぶ、という意味もあるくらいだ。


「ちょっと、今のは強引過ぎたよね…。」


 僕も苦笑いだった。


 3人の女性店員は、僕の注文が終わったあとも、


 殿にあれやこれやと話しかけ、


 ここに居座っていたのだ。