僕は大学のカフェテリアにいた。


 マキは1時間目から必修が入っていたので、


 殿に何もしないように散々言い聞かせて、


 大教室の後ろ、


 マキの友達から遠い所に座らせた。




 そして、神様、どうして、


 女という生き物はこうも面倒なんだろう。


「ちょっと!!タケル!!


昨日はどうしたのよ?


さっきチラッとマキ見たんだけど…


あれ、昨日とおんなじ服だよね?」


 そうか!女はそういうの気にするのか!!


 そこまで気が回らなかった…!!


 レイカはカップのホットコーヒーを飲みながら、


 隣のハヤトとアイコンタクトをした。


 お気づきだろうが、二人は付き合っている。


「いや、マキが書いてくれたレポートがちょいと問題で…」


 僕がしどろもどろ言うと、ハヤトが助け舟をだす。


「でも、タケルはそうなったら、


ちゃんと俺らに言ってくれるだろ?」


 そう、ハヤトとレイカを去年の文化祭でくっつけたのは


 まぎれもなく僕と、マキだ。


「あ、あたりまえじゃん!!


でも、マキはないって!!」


 と苦笑する僕。


 レイカはふーんと腑に落ちないように言った。


 僕は腕時計をチラッと見た。


「どうしたの?」


 レイカのネコ目が面白そうに僕の表情を伺っている。


 僕が気になっているのは、


 マキじゃなくて、


 殿だってば!!!


「次、授業だから、行くワ」


 と、僕は片手をあげて、カフェテリアを後にした。