二番目の姉貴の声はまだまだ続く。


「てか、これ、タケルの?


タケル-!いるの?」


 僕の頭は回らない。


 殿は頭にタオルをのせて湯船につかっている。


「てか、これ、女モンの服…


え、タケル!!そ、そんなー!!」


 僕はザバーっと素っ裸で脱衣所に出た。


「愛姉ちゃん!!ち、違うんだ!!」


 二番目の姉貴は一番目ほど怖くはないが、


 好奇心旺盛で、めんどくさい。


「ちょーっと、実家で彼女と混浴~?」


 姉貴は目を輝かせて風呂場を覗き込む。


「タケルの姉君か?」


 殿ー!


「ちょ、なにこれ…ヤバ…


マジ、イケメンなんですけど!!」


 姉貴は目を潤ませながら、殿に見とれている。


 殿はきっと、イケメンという意味が分かっていないのだろう、


 盛大にきょと~んとしている。


 姉貴の目線は明らかに殿の御立派なアレに注がれている。


 さすがに殿は貴族なため、


 このような町娘の不躾な視線には耐えられないらしい。


 僕は殿に大きなバスタオルを渡すと、殿はホッとしていた。







 それから、母さんをよび、


 いつの間にか、


 マキちゃんから、真木くんになった。(なぜ?)


 きっと二番目の姉貴の画策だろう。


 しかし、殿の身長は僕よりかなり大きい。


 僕の部屋着がつんつるてんだ。


 これもまた、貴族の美学に反するらしく、不服としている。


「あ、おじいさんは昔、とても大きかったんだよ。」


 と、うちのばぁちゃん(初登場)。


 僕もその話は聞いたことがある。


 そこで、押入れから、二枚の少し、しっかりした浴衣を出した。


 濃紺と灰色の紬で、殿は濃紺の方をご所望された。


 さすが、貴族!!男前!!


 濃紺の浴衣を着た殿を、


 一番目の姉貴も含めて、うちの女たちは、


 頬を染めて見つめていた。


 あ、僕も何気にドキっとしたが。