握り締めたレシートを、大切にポケットにしまう。
と、同時にあたしは昨日から放置していた携帯を取り出した。
折畳みの携帯を開くと、真っ暗な画面がただ、あたしのぶさいくな泣き顔を写すだけだった。
充電しなきゃぁ。
とろとろ歩きながら、いつもの倍の時間をかけて家にたどり着いた。
重い玄関の扉を開けると、リビングからすぐに出てきたのはクミコサン。
「おかえり。ミアチャン…心配したのよ?」
エプロン姿がよく似合う綺麗な人。
爪は短く手入れされてるし、髪型もエプロンに隠れた部屋着までオシャレ。
「ごめんね、クミコサン。昨日は飲んでそのまま友達の家に泊まったの。」
いつもの様に作り笑いを浮かべながら玄関で靴を脱ぐ。
「そう…」
少し寂しそうにリビングへ戻るクミコサンを見ないで、あたしはすぐに2階の部屋に上がった。
あのエプロン、どうしてアナタが使うの?
最近は、怒りとゆうより諦めたと言った方が正しい感情だけが、あたしのクミコサンに対する態度に表れてる。
そのエプロンはママのだよ?
ベッドに寝転んで見たものの、やっぱりお風呂に入らなきゃ落ち着かない。
あたしはのろのろと1階にあるお風呂場へ向かった。

