「え〜…これによって、幼少時代に形成される発育の〜……」




教室では、すでに教授がマイクを片手に心理学について語りながら、その内容を黒板に殴り書きしている最中だった。



あと30分は生徒の方を振り向かないだろうなぁ。



相変わらず汚くて全く読めない黒板と、何人かの生徒がにらめっこしてる。



その中にいかにも授業に興味がなさそうにしてる男が一人。



ハルだ。



あたしに気が付いたハルは大きなジェスチャーで隣の空席を教えてくれた。



音は立てない様に、教授の方をちらちら見ながらそっとハルの隣に座る。



「おはよ〜ミア。」



ハルはニコニコしながらあたしのバックを反対の空席に置いてくれた。


「あ、ありがと♪おはよう。…ユカは?」



「寝坊〜。昼休み明けに来るとさぁ。俺も眠いのに。」



ハルはダルそうに机の上に上半身を転がした。



「なんだぁ。」



あたしが軽くため息をつくと、ハルが不機嫌そうに打つむせの顔を私に向けた。

「なんだよう。俺と二人っきりの昼飯嫌なのか?俺はミアとご飯楽しいから好きだよ?」



「ち…違う違う!ハルとランチ楽しみ♪何奢ってもらうかなっ?」



しょうがねぇな、なんて言いながらハルはあたしの髪の毛先を軽く摘んだ。




「あれ?ストレート珍しい。」



「あぁ、うん。変?」



「いや。可愛いっ。いつものふわふわもイイけど、ストレートも有りだなぁ。」



ハルはニコニコあたしの髪を撫でた。



「ん〜。可愛い可愛い。」



ハルはいつも私を甘えさせてくれる。



ハルに限らず、ユカも先輩も後輩も。