生徒手帳を入れるポッケから

生徒手帳を取り出した。

(3年は生徒手帳をポッケに入れるのはダサいといって、入れていない。ちなみにポッケに入れて常に持ち歩くことは校則。)

「天千寺 苺..................?」

周りの人はそれを聞くとクスクスと笑った。

「それにしても苺って.................」

怒鳴る女の隣奴が

「苺みるく~♪」なんて言って

みるく、みるく騒ぎ出した。

赤くなって恥ずかしそうにする

「変な名前ね。」

そういった途端に無性に腹が立った。

「お前等さ、高3にもなって人の名前で笑うなんて恥ずかしくなんないの?」

俺は口を挟んだ。

名前。それは親が考えてくれた大切な名前。

そんな名前を侮辱することがとても腹立たしかった。

親がいざこざしていた俺は

母さんがいない俺は

唯一くれた、二人からくれた、この名前を大切にしていた。

自分に名前を授けてくれた親を否定するようで。

いやだったんだ・・・

「苺?かわいい名前じゃん。」

そういって"苺"の頭を撫でた。

「お前等最低だな。」

「聖人君っ!!」

「教室まで送ろうか。」

「え、いいんですか?!」

「俺と一緒なら、2,3年の教室の前通れるし。2年の教室の廊下を通ったほうが近道だろ?」

「・・・はい。じゃあ、お言葉に甘えて~っ。さっき、とっても嬉しかったです。」

「え?」