たぶん聖人は───

和のもとへ行って欲しくないのは

私と別れたくないからってこともあると思うけど・・・

「あんまりこういうこと言いたくないんだけど、明美の今の気持ち次第でムカツクこと言うかもしんないけど、俺、一度明美を傷つけたから、もう一度傷つけそうな気がするんだ。」

「───繰り返すって・・・こと?」

やっぱり。言うと思った。

「ああ、"浮気"とかする奴って、大抵そうだろ。でも、そいつが繰り返すってことは断言できなし、もちろんしないとは限らない。だから・・・」

「私が和のとこいっても、幸せになんないって・・・いいたいんでしょ?」

「うん・・・。ごめん、あけ・・・」

ギュッ・・・

再び、私から聖人に抱きついた。

さっきより、私の手には力がこもっている。

「あたしのこと、いっぱい考えてくれてありがとう。でもその、私が幸せになんないって考えは意味ないよ。」

「だって、和のとこには行かない。私の選択は、聖人と付き合う。和を・・・忘れて─────だから、聖人が私を幸せにするの!聖人に幸せにしてもらうの。」