【完】約束=願い事


「照、どうかした?
なんかいつもと違う?」



「夢瞳…」


地面に座ったまま、照が距離を詰めてきた。


近づく顔。

下向き加減の表情は暗くてよく見えない。



爆音の心臓。



自分の耳には身体を通して聞こえてくる。


近いょ。
照にも聞こえてしまう。





昔、父に感じた穏やかな感情とは違う気持ち。



極度の緊張に

思わず後ずさりそうになった時、


急に照が顔をあげた。


「心配した?」


余裕の悪ふざけ。

悪魔の微笑で。


「なんてねっ」

と言って、わたしの頬っぺたを軽くつねる。



一気に体温が上がった気がした。

顔が熱い…




反則だわ。

ねぇ、これは怒るところ?



心配したのに。

心臓が出るほどドキドキしたのに。

なんだろう
この男は?