【完】約束=願い事


「来たね夢瞳」


「来たわ。
決まった?願い事?」

変わらない問いかけ。


「まだだよ」

変わらない答え。



毎日ドキドキしながら
聞いてることは知らないでしょ?

毎日まだ決まってないことに
胸を撫で下ろしてることも。





「そういえばね。
最近学校で持ちきりの噂があって…」

わたしが切り出すと、
照はいつも興味深そうに聞いてくれる。


まだ学校に行けていない照は
わたしの学校のことをよく知りたがる。


だから話すの。


友達を作っていなかったから
いつも、聞こえてくるクラスメイトの会話を話題に挙げるだけなのが残念だけど。



「明光の生徒がわたしの学校の校門で、放課後になると現れるんだって」


「めい…こう……?」

訝しげに聞いてくる。


「有名な私立校だよ
知らない?」


「いや…」


そうだよね。
記憶喪失だもん。


「有名な進学校だったかな?
良い家庭の子息とか息女が集まってるトコ」


「……」


「……照?」


なんか おかしいな…

もしかして…?


「照?」


「…ん?」


「ねぇ、
もしかして、明光って聞いたことあるんじゃない?
昔通ってたとか?」


「……」

うつむく照。


思い出すのかな?

どうなんだろぅ…

その頭のなかでは何が起こってるの?