「保護者って…
んー保護者ではないかな」
照も笑う。
「オレは夢瞳の弱味を握ってしまったね」
笑う…。
「君たちが大嫌いな施設の人たちに話すことも出来る」
そんなことを口にした彼の雰囲気は今までと変わらない。
一方、
わたしの中で今までの和やかな気分は一瞬で現実へと引き戻された。
そうだった。
何を楽しくしゃべっていたのだろう。
いくら記憶を無くしていても、
透き通った笑顔をしていても、
彼が見た目通りとは限らないじゃない。
「それは、あなたもでしょ、照?」
そうよ。
照だって規則違反だわ。
わたしがアイツらに話せば、
男である彼の方がきっとひどい体罰を与えられるだろう。
「残念。
オレは許可を得てるよ。
外を歩くと何か思い出すかもしれないからね」
…用意周到なのね。
恐れ入ったわ。
「じゃあ
言えば良いわ」
少しでも気を許したわたしが馬鹿だったことに気付けた。
そうだよ。
そう考えれば、安い授業料じゃない。
でもいつか、あんたにも仕返ししてやるわ。
温度が下がる頭で、
そう決めた。
