「碧……?
どうしてここに?」


すっかり涙声のわたしは、もう恥ずかしさなんて消えて、涙を拭くことさえ忘れていた。


「部屋の外で声が聞こえたから、ついて来たの。
何泣いてんのよ。
はい、拭いて。
咲楽がびっくりしてるでしょ」


そう言って渡してくれたタオルで、
わたしは遠慮なく顔を拭いた。



「碧…照が。
照…ぅっく…」


気が動転しているわたしは、自分でさえ何を言っているのか分からない。


碧もちょっと呆れた顔で、ベンチに座るわたしを少し笑いながら見下ろす。


「あんたキャラが違うわよ。
で、それは何よ?」


「日記。照の」


「え?照の…って…」


「照が、わたしのことを好きなの…」


「うん、それは知ってるわ」


「…なんで?」



今度はわたしが驚いた。


だってなんで知ってんのよ?

接点ないじゃん?


でも、碧はその問いには答えなかった。



「で、あんたは何してんの、夢瞳?」


「何って……?」


「照が好きなんでしょ?」