【完】約束=願い事


閑流さんのお陰で迷いが消えた俺は、勢いよく扉を出て走って門を過ぎる。


そう遠くないところに、夢瞳さんと照兄が対峙していた。



もしかして…夢瞳さん泣いてる?


「夢瞳さん!」

俺は叫んだ。



なんで泣いてるんだろう…

そんな必死に拭わなくても、泣いたことを馬鹿にしたりしないよ?



「俺が送ってくよ、照兄。
行こう、夢瞳さん。
俺喋り足りないよー」


俺の存在にふたりの空気が変わった。


夢瞳さんの背中を押して歩き出した俺に、照兄は何も言わないで、帰って行く。


振り向くと、もう門のところまで歩いていた。



照兄……


照兄、まさか夢瞳さんが好き?

それに夢瞳さんも?



確信が持てないまま、見えなくなった照兄の残像を頭で追っていた。