カラオケを出た時は21時を過ぎたくらいだった。
何度か殴られたまま走り続けて今はどのくらいだろう?
俺はこの辺りで一番広い公園まで来ていた。
『…?!』
ふらつく足と目は暗闇の中で障害物を発見出来ずに、
気付くとそのまま転倒してしまっていた。
なんだか疲れた気分になった俺はそのまま目を閉じてしまいたい誘惑にかられた。
もしかしたら本当に数秒くらい気を失っていたのかも。
気が付くと、脇腹に鈍い衝撃が走った。
『わっ?!』
上から降ってきたのは女の子の声。
驚いた声だった。
『ねぇ、大丈夫?』
見上げたそこには、サラサラの長い髪をした綺麗な女の子が立っていた。
見下ろされているのがちょっと恥ずかしくて、
差し伸べられた手を掴んで立ち上がる。
並ぶと意外に低い身長。
いや、俺が高いのかな?
実は照兄より高いかもしれない。
180くらいだったよな俺。
そんなたわけたことを考えていると、追ってくる声が聞こえた。
『やっべっ』
挙動不審に周りを見る俺を、急に少女が引っ張った。
