『だから、確かめてくるんだよ。
崇佑が惚れた女の子。
記憶喪失の少年でも演じながら接触するよ。
確か施設にはよく寄付してるよね、父さん?』
『あ…あぁ』
『じゃあ、職員には手配しといて。
いや、それは恒輝に頼んだ方が良いかも…』
ブツブツ言うオレに、意外にも晃一さんは賛成を示した。
ただひとり、崇佑だけが、
『えー!
行くの俺じゃなくて、照兄?
俺が行きたいよー夢瞳さんに会いたいー』
『それでは確かめる意味がないだろう』
さすがに苦笑する晃一さんがたしなめる。
『じゃあオレが接触してる間に、その女の子のこと、ちゃんと調べてて』
それからオレの奇妙な生活が始まった。
