オレと違って人懐っこい崇佑は、
友達が多い反面、恋愛のトラブルも多かった。
今のところ100%の確率で相手からの一方的な気持ちによるものだ。
だから驚いた。
まさか崇佑が一目惚れをしたなんて。
しかも相手は施設育ちの中学生。
そこの施設は警察沙汰にもなるほどの問題児も住む場所。
偏見だけど、そんな環境で荒れてないわけがない。
オレは漠然と、そう思った。
『父さん、なんとか夢瞳さんをあの場所から助けられないかな?』
環境を分かってはいるのか、崇佑が晃一さんに頼む。
ハッキリ言って晃一さんは親バカの域に達していると言えなくもない程、崇佑にもオレにも甘い。
仕方ないなぁ。とか曖昧に頷く姿に危機感を感じてしまった。
あのなぁ…
何が『仕方ないなぁ』だよ、晃一さん。
オレたちは唯さんに崇佑のこと頼まれただろう?
仕方ないなぁ。
と、オレこそそう思いつつ、でも少しの興味本意から、提案を出した。
『オレ確かめてこよっか?』
『え?』
振り向くふたりの顔がそっくりで、少し笑えた。
