少しの沈黙。
これを気まずい沈黙って言うのかな。
でも気にせずわたしは口を開いた。
まだ話してもらうことはたくさんある。
「お話はもちろん、
これで終わり。
なんてことは無いですよね?」
肯定の返事がくる確信をもって質問する。
「あなたからまだ聞いていません。
わたしをどこで知ったのか。
どうしてわたしの後見人になろうと思われたのか
」
御木本は頷いた。
さすが一流企業の社長。
改めて感じる。
行動と仕種で、言葉を発しなくても雄弁に言いたいことが伝わる。
余裕と安心感を覚えた。
「君を知ったことと、圭織さんの話は本当に全くの偶然だったんだ。
まずは、君に紹介したい人がいる」
彼がそう言うと同時に、
騒がしく扉か開いた。
「やっとか!
待ちくたびれたよ」
いつか聞いた声が耳に入った。
